都城市 三州病院

(財)日本医療機能評価機構認定施設

宮崎県都城市花繰町3街区14号 地図

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乳腺専門外来のご案内

乳腺外科からのご案内

当院は開院以来、積極的に乳がんの診断と治療を行っています。

乳がんは、早期発見、自己検診が一番重要です。月一回、お乳の柔らかい時に、自己検診をしましょう。少しでも乳腺の異常(乳汁の分泌、しこり等)に気づいたら、受診しましょう。

乳腺外来は月~金曜日の午前中に検査と診察を行っております。予約制の為、お電話にて予約お申込み下さい。

 

横山 憲三

1.疫学・乳房の組織と疾患

 国立がん研究センターは9月20日、2017年に新たにがんと診断される人は国内で101万4000人に上るという予測を発表した。2016年より3800人増え、2年連続で100万人を超える。新規患者数は増加傾向が続いており、同センターは「高齢化と診断精度の向上が主な要因」としている。

 予測によると、新たにがんになる人は、男性57万5900人、女性43万8100人だった。部位別では、大腸の14万9500人が最も多く、胃(13万2800人)、肺(12万8700人)、乳房(8万9100人)、前立腺(8万6100人)と続いた。

 男女別でみると、男性は胃が最も多く、肺、前立腺、大腸、肝臓と続いた。女性では乳房が最多で、大腸、胃、肺、子宮の順だった。

 一方、2017年にがんで亡くなる人は男性22万2000人、女性15万6000人の計37万8000人と予測。2016年の予測よりも4000人多かった。新規患者数に比べ、死亡者数の増加幅は小さく、治療の進歩などが要因とみられる。

読売新聞記事より

 

がん新患者、101万人予測

 

本県の女性部位別がん死亡割合

宮崎県の女性部位別がん死亡割合

乳がんの年齢分布

乳がんの年齢分布

乳房の組織と疾患

乳房の組織と疾患

当院の乳房検査の流れ

乳房検査の流れ

 

2.診察の順序

マンモグラフィ(乳房X線撮影)

マンモグラフィ(乳房X線撮影)

マンモグラフィとは?

 乳房専用のレントゲン検査です。板状のもので乳房をはさみ圧迫して撮影します。撮影は、左右それぞれ、上下と斜め方向から、計4回行います。

 乳房を圧迫するのは、平たくして撮影することで病変をより鮮明に写し出すとともに、厚みを薄くすることでX線の被ばく量を減らすためです。

 マンモグラフィーは、乳がんの初期症状である微細な石灰化などを検出できるため、早期発見に有効です。

 

マンモグラフィー
マンモグラフィー
マンモグラフィー
マンモグラフィー

 

乳腺超音波検査

乳腺超音波検査とは?

 乳房の表面にゼリーをぬり、そこにプローブと呼ばれる機器を滑らせて乳房の内部をリアルタイムで観察する検査です。

 マンモグラフィのような痛みや被爆の心配がありません。また、マンモグラフィ撮影の体勢をとることが困難な方や妊婦さんでも検査が可能です。

 若年者に多いとされる高濃度乳腺の方は、マンモグラフィ画像上、病変が乳腺と区別できない事もあるので、超音波検査が有効だとされています。

乳腺超音波検査
乳腺超音波検査
乳腺超音波検査

その他の検査

 マンモグラフィや超音波検査により乳がんの疑いがある場合、より詳しく調べるために行う検査です。

 それぞれの検査は、病変の大きさや拡がり、病期の進行度(転移など)を調べることに特化した検査方法です。後の治療計画に関連する必要な検査となります。

 

その他の検査

乳腺検査検討会

 当院では、マンモグラフィや超音波検査の画像について、乳腺専門医、マンモグラフィ認定技師(診療放射線技師)、臨床検査技師にて画像検討会を毎週1回実施しています。

 それぞれの視点で画像を評価する事で、病変の見落としや過診による不必要な精密検査をなくし、患者様の負担軽減に努めています。

 

乳腺検査検討会

 

3.乳がんの進行度

乳がんは早期から全身病となっている

浸潤癌の場合、多くは早期から見つけられない転移(微小転移)があるとされています。

そのため、早期でも手術後に抗がん剤、ホルモン剤などの薬物療法を行うことが治療の流れとなります。

 

乳がんは早期から全身病となっている

乳がんの進展(転移)

転移しやすい部位

転移しやすい部位

転移の有無や拡がりは、CTやPETなどの画像検査を定期的に行うことで経過を見ていきます。

 

4.乳がんの治療(手術・薬物・放射線)、乳房再建

乳がんの治療法

乳がんの治療法

補助療法(化学療法・内分泌療法・分子標的治療)

主病巣のがんはすでに手術で取り去られ、残存するかも知れない微小転移が治療対象となります。乳がんは全身病であるという概念に基づいています。

目的

 全身に広がっているかもしれないがん細胞の発育を抑制転移による再発を防ぐ

治療の基本的な考え方

術後補助療法の治療計画 (再発リスク(転移)+癌の性質(悪性度)+年齢)

重要点

  1. 腫瘍の大きさ
  2. 腋窩リンパ節への転移状況
  3. 組織学的な悪性度
  4. ER、PgR、ki67、HER2の有無
  5. 閉経状況
  6. 年齢

腋窩リンパ節転移(+) → 化学療法
腋窩リンパ節転移(-) → 内分泌療法

腫瘍マーカー

  1. CEA(糖蛋白抗原):乳癌、大腸癌、胃癌、膵癌、肺癌
  2. CA15-3(糖鎖抗原):乳癌、乳腺炎、肝機能障害

バイオマーカー

  1. ホルモン受容体(増殖因子
    ・エストロゲン(ER)
    ・プロゲステロン(PgR)
  2. Ki67(増殖因子
    ・細胞周期関連蛋白質
  3. HER2蛋白過剰発現(増殖因子
    HER2遺伝子の増殖

バイオマーカー

サブタイプごとの術前・術後補助薬物療法

サブタイプごとの術前・術後補助薬物療法

 

化学療法によって期待される再発減少効果

化学療法によって期待される再発減少効果

 

内分泌療法によって期待される再発減少効果

内分泌療法によって期待される再発減少効果

 

乳房再建法

★自家組織

皮弁法・・・腹直筋、広背筋、脂肪

乳房再建法

★人工物

人工乳房(インプラント)

乳房再建法

 

5.遺伝性乳がん・家族性乳がん

乳がんは遺伝するか

1、遺伝性乳がん(決定因子)

BRCA-1、BRCA-2(癌抑制遺伝子)

*遺伝性乳がん・卵巣がん症候群

  1. 50歳以下で乳癌発症
  2. 卵巣癌と乳癌の両方を発症
  3. 男性の乳癌患者
  4. 複数回、乳癌を発症
  5. 家系内で遺伝子変異が判明している
2、家族性乳がん(危険因子)
  • 血縁者に乳癌・卵巣癌の患者が複数いる場合
  • 乳癌になりやすい体質を受け継いでいる場合
    (家族が同じような環境・食生活で過ごしている)
3、散在性乳がん

家族歴に関係なく発症

乳がんの危険因子

乳がんの危険因子

 

6.予防・早期発見・乳がん検診

予防

乳癌にならないためにはどんな食生活を送ればよいでしょう?

  1. 好き嫌いなくバランスよく何でも食べる
  2. 全体のカロリーに注意する
  3. 食べ過ぎて太らない

 

食事に注意することによって

閉経前乳がんの約15%

閉経後乳がんの約25%

を予防できるという計算があります

早期発見

皮膚にえくぼ様の症状が見られる場合、皮膚への浸潤が疑われます。乳がんが進行していることを表しています。

自己検診や定期的な検査を受けることで、症状が出る前(早期)に発見することができます。早期に発見できれば、5年生存率は99%と高く、進行度が上がるにつれて5年生存率は下がっていくことが分かっています。

 

早期発見

 

乳がん病期別生存率

乳がん病期別生存率

 

早期に乳がんを発見するために直ちに受診すべき乳房の変化

  1. 腫瘤を自覚したとき
  2. 乳頭分泌を認めたとき
  3. 片側の乳房のみに違和感を感じたとき
  4. 乳頭が引きつれたり、陥凹しているとき
  5. 乳房痛があるとき
  6. その他:いつもの乳房と異なった感じのあるとき

乳がんの部位別発生率

乳がんの部位別発生率

 

乳がん検診

目的:乳がんの早期発見
  • 検診による乳がんの発見率・・・0.2~0.3%
  • 2~3cmの大きさで発見されると・・・10年生存率:75~80%
検診方法(2年に1回、40歳以上)
  • 集団検診:検診車で行う検診(マンモグラフィ+乳腺超音波検査)
  • 個別検診:病院や検診施設等で行う検診(マンモグラフィのみ)

 

重要なのは、

  • 乳がん検診を受けること
  • 自己検診をすること

マンモグラフィ画像

マンモグラフィ画像

 

乳腺超音波検査画像

乳腺超音波検査画像

 

乳がんの早期発見には自己触診が一番大事です

  • 自己触診をしている人の乳がんが見つかった時の大きさ・・・1.5cm
  • 全く触っていない人の乳がんが見つかった時の大きさ・・・3cm

 

30歳になったら

◆自己触診・・・1回/月

◆乳がん検診

  • 家族歴のある人:1回/年
  • 無症状の人:1回/2年

 

2cm以下のシコリ・・・90%治る

 

当院における乳がん患者統計

三州病院 乳がん 発見数・手術数(2017年4月~2018年3月)

三州病院 乳がん 発見数・手術数

 

乳がん Stage 分類(2011~2017)

乳がん Stage 分類

 

乳がん Stage Ⅰの場合の5年生存率(2011~2012)

乳がん Stage Ⅰの場合の5年生存率